楽天銀行が上場、ネット銀行が注目される理由
ネット銀行とは、実店舗を持たずにネットやスマートフォンなどで金融サービスを提供する銀行のことです。最近では、日本でも楽天銀行や住信SBIネット銀行などが人気を集めています。では、なぜネット銀行が注目されるのでしょうか?
ネット銀行のメリットはいくつかあります。まず、実店舗を持たないことで経費を節約できるため、収益性が高くなります。その結果、預金金利やカードローンの金利などが有利になったり、手数料が安くなったりします。例えば、楽天銀行は2022年3月期の普通株の株主資本利益率(ROE)が11%と、メガバンクよりも高い水準にあります。
次に、ネット銀行はグループ内の他の事業と連携して顧客を獲得できることです。例えば、楽天銀行は電子商取引(EC)やネット証券を含む楽天グループの事業から恩恵を受けています。楽天グループ全体の月間平均アクティブユーザー数は昨年3900万人を超えました。楽天銀行の22年3月期の新規口座開設の約3分の2は、グループの他のアプリやウェブサイトを通じて獲得したものです。
さらに、ネット銀行は顧客に様々な特典や割引を提供することでロイヤリティを高めることができます。例えば、楽天銀行のクレジットカードを利用する顧客は、楽天グループのECサイトでポイントやキャッシュバックを受けられます。また、銀行口座と証券口座を連携させれば、より高い金利を得ることもできます。楽天証券は800万以上の口座を持つ国内ネット証券大手で、特に若い世代に人気があります。
しかし、ネット銀行にもデメリットや課題があります。まず、実店舗がないことで顧客との対面接触が少なくなります。そのため、信頼関係や付加価値を提供することが難しくなります。また、ネットやスマートフォンに慣れていない高齢者の人々にとっては、アクセスや操作が不便に感じられるかもしれません。
さらに、ネット銀行はセキュリティ面でのリスクも抱えています。ネット上での取引は、不正アクセスやウイルス感染などの危険性が常にあります。ネット銀行は様々な対策を講じていますが、利用者自身もパスワード管理やウイルス対策などに注意する必要があります。また、災害時にネットやATMが使えなくなった場合、現金を引き出すことができない可能性もあります。
このように、ネット銀行にはメリットだけでなくデメリットも存在します。しかし、デメリットを克服するための取り組みも進んでいます。例えば、実店舗を持つ銀行と提携したり、カウンターサービスを設置したりすることで、顧客との接点を増やしたり、住宅ローンや小規模企業共済などのサービスを提供したりしています。また、ネット環境やデジタル機器の普及や改善によって、利便性や安全性も向上していくと考えられます。
ネット銀行は今後も進化し続けるでしょう。自分にとって最適なネット銀行を選ぶためには、メリットとデメリットをよく理解し、自分のライフスタイルや目的に合わせて比較検討することが大切です。